1.帰化とは
国籍法第4条
外国人は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。
帰化をすることは、法務大臣の許可を得なければならない。
永住と帰化との基本的な差異
永住-外国人であることに変わりなく、在留活動の制限はなくなるものの、退去事由に該当すれば退去強制の対象者となり、参政権は認められず、外国人登録や再入国の手続等が必要。
帰化-外国の国籍を喪失して日本国籍を取得、すなわち日本人になるということです。
2.帰化の種類
①普通帰化(国籍法第5条)
②簡易(特別)帰化(国籍法第6条~第8条)
③大帰化(国籍法第9条)
3.帰化許可申請の条件
(1)国籍法第5条の条件(基本条件)
①引き続き5年以上日本に住所を有すること(居住要件)
②20歳以上で本国法によって能力を有すること(能力要件)
③素行が善良であること(素行要件)
④自己または生計を一つにする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること(生計要件)
⑤国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと(重国籍防止要件)
⑥日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張し、又はこれを企て、もしくは主張する政党その他の団体を結成し、もしくはこれに加入したことがないこと(忠誠要件)
⑦日本語の読み書き、会話の能力があること(日本語の能力条件)
※日本で生まれた方、日本人と結婚している方、お父さん又はお母さんが日本人である方などについては、上記の条件の一部がゆるやかになっています。
(2)国籍法第6条の条件(住所の緩和規定)
日本と特別の関係のある外国人で、現に日本に住所を有する者については、継続して5年以上日本に住所を有していなくても、他の条件が備わっていれば、法務大臣は許可することができる。
①日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所または居所を有する者
②日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所もしくは居所を有する者
③日本で生まれた者で、その実父もしくは実母(養父母を除く)が日本で生まれた者
③引き続き10年以上日本に居所を有する者
(3)国籍法第7条の条件(住所・生計の緩和規定)
日本国民の配偶者に対する緩和規定であり、帰化の許可をすることができます。
①日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所または居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者
②日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する者
(4)国籍法第8条の条件(住所・能力・生計の免除規定)
次の①~④の者については、帰化の条件のうち住所、能力、生計に関する条件を備えていないときでも帰化を許可することができる
①日本国民の子(養子を除く)で日本で住所を有する者
②日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ縁組の時本国法により未成年であった者
③日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で、日本に住所を有する者
④日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有する者
(5)国籍法第9条の条件(特別規定)
日本に特別の功労のあった外国人については、法務大臣は、国籍法第5条第1項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。
別表1 必要書類一覧表
①帰化許可申請書(写真貼付)
②親族の概要を記載した書面
③履歴書
・最終卒業証明書又は卒業証書
・在学証明書
・技能及び資格証明書
・自動車運転免許証写し(表・裏)
④帰化の動機書
⑤国籍・身分関係を証する書類
・本国の戸籍謄本(韓国・台湾・父母の戸籍、本人の戸籍)
・国籍証明書
・出生証明書
・婚姻証明書(本人・父母)
・親族関係証明書
・その他(父母の死亡証明書等)
・パスポート・渡航証明書(写し)
・出生届書(日本での戸籍届書の記載事項証明書)
・死亡届書(日本での戸籍届書の記載事項証明書)
・婚姻届書(日本での戸籍届書の記載事項証明書)
・離婚届書(日本での戸籍届書の記載事項証明書)
・その他(養子縁組・認知届・親権を証する書面・裁判書)
日本の戸(除)籍謄本
本人が日本国籍を喪失した者
親、子、兄弟姉妹、(内)夫・妻、婚約者が日本人(元日本人を含む)
帰化した者(帰化事項の記載のあるもの)
⑥国籍喪失等の証明書(ただし、法務局の担当者の指示があった場合)
⑦住所証明書(申請者及び同居者全員)
・住民票
・外国人登録原票記載事項証明書
(出生地、上陸許可の年月日、法定居住期間の居住歴、在留資格及びその期間、氏名・生年月日を訂正しているときは訂正前の事項とその訂正年月日、外国人登録番号の記載のあるもの)
⑧宣誓書
⑨生計の概要を記載した書面
・在勤及び給与証明書(会社等勤務先で証明したもの)
・土地・建物登記事項証明書(登記簿謄本)
・預貯金現在高証明書・預貯金通帳の写し
・賃貸契約書の写し
⑩事業の概要を記載した書面
・会社登記簿謄本(登記事項証明書)
・営業許可書・免許書類の写し
⑪納税証明書
○個人
・源泉徴収票
・納付書写し
・確定申告書(控・決算報告書含む)
・所得税納税証明書(その1、その2)
・事業税
・消費税
・都道府県・市区町村民税、非課税証明書
○法人
・確定申告書(控・写し)
・決算書・貸借対照表
・法人税納税証明書(その1、その2)
・法人事業税
・源泉徴収簿写し(申請者の関する部分)、納付書写し
・消費税
・法人都道府県民税
・法人市区町村民税
⑫運転記録証明書(過去5年間)
運転免許経歴証明書(失効した人、取り消された人)
⑬居住・勤務先・事業所付近の略図
⑭その他
・最近のスナップ写真
・感謝状(国益要件)
×脱税、犯罪
(注)
◎上記のほかにも関係書類の提出が必要となる場合があります。
◎提出書類のうち、特に提示のないものはすべて各2部(うち1部は写しで可)必要です。
◎写しを提出する場合は、A4判としてください。
◎外国語文書には、A4判の訳文を添付し、翻訳者の住所・氏名及び翻訳年月日を記載してください。
帰化の申請の手順
帰化しようとする方の年齢 |
申請をされる方 |
申 請 先 |
15歳以上の方 |
本 人 |
住所を受け持っている法務局・地方法務局 |
15歳未満の方 |
父母などの法定代理人 |
※申請をされる本人が自ら法務局・地方法務局に出向いて申請する
■帰化申請の手順
1.相談
2.提出書類の作成・取り寄せ
3.法務局・地方法務局に申請
4.書類の点検・受付
5.審査
6.法務省へ書類送付・審査
7.法務大臣決裁
8.許可、不許可
別表2 納税証明書等添付書類一覧表
税等の種類 |
対象期間 |
請求先 |
形 態 |
||||
給与所得者 |
事業経営者 |
||||||
源泉徴収さ れている人 |
源泉徴収さ れていない ため確定申 告をしてい る人 |
2か所以上 から給与を 得ている人、 給与が年間 2,000万円 を超える人 |
法人 (取締役 も含む) |
個人 |
|||
源泉徴収票 |
勤 |
◎ |
◎ |
◎ |
|||
都道府県・市区町村民税 |
都市 |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
|
法人都道府県民税 |
都 |
◎ |
|||||
法人市区町村民 |
市 |
◎ |
|||||
事業税 |
都 |
◎ |
◎ |
||||
法人税(その1、その2) |
税 |
◎ |
|||||
個人の所得税 (その1、その2) |
税 |
◎ |
|||||
消費税 |
税 |
◎ |
◎ |
||||
確定申告書控 (別表、決算報告書、青色 申告決算書、収支内訳書) |
◎ |
◎ |
|||||
源泉徴収原簿写し及び 納付書写し |
勤 |
◎ |
(注)
1 本表は、申請者が納税対象者となるときの表です。
2 対象期間は、担当者の指示に従ってください。
3 請求先欄が、「勤」じゃ勤務先、「市」は「市区町村役場」、「都」は都道府県税事務所、「税」は税務署を表します。
4 申請者と生計を同じくする配偶者その他の親族については、担当者の指示に従ってください。
平成21年1月1日から、国籍法が改正されました(子の認知)
日本国民の父から認知されていれば、
父母が結婚していなくても、
届出によって日本の国籍を取得できるようになりました。
新しい国籍法第3条による国籍取得
■国籍取得の要件
○国籍を取得しようとする方が
・父又は母に認知されていること
・20歳未満であること
・日本国民であったことがないこと
・出生したときに、認知した父又は母が日本国民であったこと
○認知をした父又は母が現に(死亡している場合には、死亡した時に)日本国民であること
■届出の方法
本人(15歳未満のときは法定代理人)が届出先に出向き、書面によって届け出ることが必要。
■届出先
○本人が日本に住所を有する場合
住所地を管轄する法務局・地方法務局
○本人が海外に住所を有する場合
日本の大使館又は領事館
経過措置による国籍取得
次の要件に該当する方は、 平成23年12月31日までに 法務大臣に届け出ることによって、
日本の国籍を取得することができます。
①昭和58年1月2日以後に生まれた方で、生まれた時に父が日本人であり、20歳に達するまでその父に認知された方
ただし、父が今も(死亡しているときは死亡した時に)日本人であることが必要です。
②平成20年6月4日までに国籍取得の届出をしたが、父母が結婚していなかったため、日本の国籍を取得できなかった方
③②のうち平成14年12月31日までに国籍取得届をしていた方の子
(親が経過措置による届出をして日本の国籍を取得した場合に限られます。)
嘘の認知届や国籍取得届をすると処罰されます
①嘘の認知届
5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
②嘘の国籍取得届
1年以下の懲役又は20万円以下の罰金
③市区町村への国籍を取得した旨の届出
5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
国籍Q&A
Q1: 国籍とは,何ですか?
国籍とは,人が特定の国の構成員であるための資格をいいます。
国家が存立するためには,領土とともに,国民の存在が不可欠ですから,国籍という概念は,どこの国にもあります。しかし,どの範囲の者をその国の国民として認めるかは,その国の歴史,伝統,政治・経済情勢等によって異なり,それぞれの国が自ら決定することができます。このことから,国は,ある個人が他の国の国籍を有するかどうかまでは,決めることができません。
我が国においては,国籍法(昭和25年法律第147号)において,日本国籍の取得及び喪失の原因を定めています。
Q2: 国籍に関する手続は,どこで行うのですか?
日本国籍の取得及び喪失に関する具体的な手続や相談は,以下で取り扱っています。
1 国籍取得及び国籍離脱の届出
(1 ) 日本に住所を有する方
住所地を管轄する法務局・地方法務局
(2 ) 外国に住所を有する方
日本の大使館又は領事館
2 帰化許可申請
住所地を管轄する法務局・地方法務局
Q3: 日本国籍の取得原因には,どのようなものがありますか?
日本国籍を取得する原因には,出生,届出,帰化の3つがあります。
1 出生(国籍法第2条)
(1 ) 出生の時に父又は母が日本国民であるとき
(2 ) 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき
(3 ) 日本で生まれ,父母がともに不明のとき,又は無国籍のとき
2 届出(国籍法第3条,第17条)
届出による国籍の取得とは,一定の要件を満たす方が,法務大臣に対して届け出ることによって,日本国籍を取得するという制度です。
(1 ) 認知された子の国籍の取得
(2 ) 国籍の留保をしなかった方の国籍の再取得
(3 ) その他の場合の国籍の取得
3 帰化(国籍法第4条から第9条まで)
帰化とは,日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対して,法務大臣の許可によって,日本の国籍を与える制度です。
Q4: 出生により日本国籍を取得するのは,どのような場合ですか?
子が出生により日本国籍を取得するのは,次の3つの場合です(国籍法第2条)。
1 出生の時に父又は母が日本国民であるとき
2 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき
3 日本で生まれ,父母がともに不明のとき,又は無国籍のとき
ここでいう「父」又は「母」とは,子の出生の時に,子と法律上の親子関係がある父又は母をいいます。また,この法律上の親子関係は,子が生まれた時に確定していなければなりません。
したがって,婚姻をしていない日本人父と外国人母との間に生まれた子については,母の胎内にいる間に日本人父から認知されている場合(胎児認知)には,出生によって日本国籍を取得しますが,出産後に日本人父が認知した場合には,出生の時に法律上の親子関係があったことにはなりませんので,原則として,出生によっては日本国籍を取得しません。
しかし,このような子が,父から認知された場合については,一定の要件を満たしていれば,法務大臣へ届け出ることによって日本国籍を取得することができます(Q6参照)。
Q5: 外国で生まれた日本人夫婦間の子の国籍は,どうなりますか?
日本人夫婦の子が外国で生まれた場合であっても,出生によって日本国籍を取得します。
しかし,外国で生まれた子が,出生によって日本国籍と同時に外国の国籍も取得したときは,出生の日から3か月以内に,出生の届出とともに日本国籍を留保する意思表示(国籍留保の届出)をしなければ,その子は,出生の時にさかのぼって日本国籍を失うこととされています(国籍法第12条,戸籍法第104条)。
子が外国で生まれた場合には,日本国籍と同時に外国の国籍を取得する可能性があります。この場合,子が引き続き日本国籍を有するためには,国籍留保の届出が必要となりますので,ご注意ください。
なお,日本国籍を留保する意思表示をしなかったことによって日本国籍を喪失した子については,一定の要件を満たしていれば,法務大臣へ届け出ることによって日本国籍を再取得することができます(Q6参照)。
Q6: 届出によって日本国籍を取得できるのは,どのような場合ですか?
届出によって日本国籍を取得することができるのは,次の場合です。
なお,日本国籍の取得の届出をした方は,取得の要件を備え,かつ,届出が適法な手続によるものである限り,その届出の時に日本国籍を取得したことになります(国籍法第3条第2項,第17条第3項)。
1 認知された子の国籍の取得(国籍法第3条)
日本人父と外国人母との婚姻前に生まれた子は,原則として,父から胎児認知されている場合を除き,出生によって日本国籍を取得することはありません。
しかし,出生後に,父から認知された場合で,次の要件を満たしている場合には,法務大臣に届け出ることによって,日本国籍を取得することができます。
(1 ) 届出の時に20歳未満であること。
(2 ) 認知をした父が子の出生の時に日本国民であること。
(3 ) 認知をした父が届出の時に日本国民であること。
(認知をした父が死亡しているときは,その死亡の時に日本国民であったこと。)
(4 ) 日本国民であった者でないこと。
2 国籍の留保をしなかった者の国籍の再取得(国籍法第17条第1項)
外国で生まれた子で,出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した子は,出生届とともに日本国籍を留保する旨を届け出なければ,その出生の時にさかのぼって日本国籍を失います。
しかし,日本国籍を留保しなかったことによって日本国籍を喪失した子は,次の要件を満たしている場合には,法務大臣に届け出ることによって,日本国籍を再取得することができます。
(1 ) 届出の時に20歳未満であること。
(2 ) 日本に住所を有すること。
「日本に住所を有すること」とは,届出の時に,生活の本拠が日本にあることをいいます(観光,親族訪問等で一時的に日本に滞在している場合等には,日本に住所があるとは認められません。)。
3 その他の場合の国籍の取得
上記1及び2のほかに,官報催告によって国籍を喪失した方の再取得(国籍法第17条第2項)等があります。
(注 )上記に該当しない方が日本国籍を取得するには,帰化の方法によることとなります。
Q7: 届出による国籍取得は,どのような手続が必要ですか?
1 届出方法
本人(15歳未満のときは,父母などの法定代理人)が自ら届出先に出向き,国籍取得の要件を備えていることを証する書類を添付し,書面によって届け出ることが必要です。
添付書類等の詳しい手続は,届出先となる法務局・地方法務局又は日本の大使館又は領事館にご相談ください。
2 届出先
(1 ) 日本に住所を有する方
住所地を管轄する法務局・地方法務局
(2 ) 外国に住所を有する方
日本の大使館又は領事館
(注 )国籍の留保をしなかった方の国籍の再取得の届出については,日本に住所を有することが条件とされていますので,法務局・地方法務局が届出先となります。
Q8: 帰化とは,何ですか?
帰化とは,その国の国籍を有しない者(外国人)からの国籍の取得を希望する旨の意思表示に対して,国家が許可を与えることによって,その国の国籍を与える制度です。日本では,帰化の許可は,法務大臣の権限とされています(国籍法第4条)。
法務大臣が帰化を許可した場合には,官報にその旨が告示されます。帰化は,その告示の日から効力を生ずることとなります(国籍法第10条)。
Q9: 帰化には,どのような手続が必要ですか?
1 帰化許可申請の方法
本人(15歳未満のときは,父母などの法定代理人)が自ら申請先に出向き,書面によって申請することが必要です。その際には,帰化に必要な条件を備えていることを証する書類を添付するとともに,帰化が許可された場合には,その方について戸籍を創設することになりますので,申請者の身分関係を証する書類も併せて提出する必要があります。
帰化申請に必要となる主な書類については,Q11をご覧ください。
2 申請先
住所地を管轄する法務局・地方法務局
Q10:日本国籍を喪失するのは,どのような場合ですか?
日本国籍を喪失するのは,次のような場合です。
1 自己の志望による外国国籍の取得(国籍法第11条第1項)
自分の意思で外国国籍を取得した場合,例えば,外国に帰化をした場合等には,自動的に日本国籍を失います。
2 外国の法令による外国国籍の選択(国籍法第11条第2項)
日本と外国の国籍を有する方が,外国の法令に従って,その外国の国籍を選択した場合には,自動的に日本国籍を失います。
3 日本国籍の離脱(国籍法第13条)
日本と外国の国籍を有する方が,法務大臣に対し,日本国籍を離脱する旨の届出をした場合には,日本国籍を失います(Q10参照)。
4 日本国籍の不留保(国籍法第12条)
外国で生まれた子で,出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した子は,出生届とともに日本国籍を留保する旨を届け出なければ,その出生の時にさかのぼって日本国籍を失います(Q11参照)。
なお,日本国籍の留保をしなかったことにより日本国籍を失った方については,20歳未満であって日本に住所を有するときは,法務大臣へ届け出ることによって,日本国籍を再取得することができます(Q6参照)。
5 その他(国籍法第15条,第16条)
Q11: 日本国籍の離脱には,どのような手続が必要ですか?
1 届出方法
本人(15歳未満のときは,父母などの法定代理人)が自ら届出先に出向き,国籍離脱の要件を備えていることを証する書類を添付し,書面によって届け出ることが必要です。
添付書類等の詳しい手続は,届出先となる法務局・地方法務局又は我が国の在外公館にご相談ください。
2 届出先
(1 ) 日本に住所を有する方
住所地を管轄する法務局・地方法務局
(2 ) 外国に住所を有する方
我が国の在外公館
(注 )日本国籍の離脱の効果は,離脱者本人のみに生じ,その配偶者や子などの親族には及びません。
また,日本国籍の離脱の届出をした方は,離脱の要件を備え,かつ,届出が適法な手続によるものである限り,その届出の時に日本国籍を離脱したことになります(国籍法第13条第2項)。
Q12: 国籍の留保とは,何ですか?
外国で生まれた子で,出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した子は,一定の期間内に,日本国籍を留保する意思表示をしなければ,その出生の時にさかのぼって日本国籍を失うこととされています(国籍法第12条,戸籍法第104条)。
子の日本国籍を失わせないためには,以下の手続により,国籍の留保の届出をする必要があります。
1 届出方法
父又は母や,その他の法定代理人が,子の出生の日から3か月以内に出生の届出とともに日本国籍を留保する旨の届出をする必要があります。具体的には,出生届の用紙中に,「日本国籍を留保する」旨の記載をすることとなります。
2 届出先
我が国の在外公館又は市区町村役場
なお,日本国籍の留保をしなかったことにより日本国籍を失った方については,20歳未満であって日本に住所を有するときは,法務大臣へ届け出ることによって,日本国籍を再取得することができます(Q6参照)。
Q13: 国籍の選択とは,どのような制度ですか?
外国で生まれた方や,父又は母が外国人である方は,日本国籍のほかに外国国籍も有する重国籍者である可能性があります。
国籍の選択とは,重国籍者に,所定の期限までに,自己の意思に基づいて,日本か外国のいずれかの国籍を選んでいただくという制度です。
国籍を選択する必要があるのは,重国籍者が2つ以上の国家に所属することから,
a.それぞれの国の外交保護権が衝突することにより国際的摩擦が生じるおそれがある,
b.それぞれの国において別人として登録されるため,各国において別人と婚姻するなど,身分関係に混乱が生じるおそれがある,等のためです。
重国籍者は,重国籍となった時が20歳未満であるときは22歳に達するまでに,重国籍となった時が20歳以上であるときはその時から2年以内に,いずれかの国籍を選択しなければなりません。
この期限内に国籍の選択をしないでいると,法務大臣から国籍選択の催告を受け,場合によっては日本国籍を失うことがあります。
Q14: 国籍の選択は,どのような方法で行うのですか?
国籍の選択の方法は,次のとおりです。
1 外国国籍を選択する方法
(1 ) 日本国籍の離脱(国籍法第13条)
日本と外国との重国籍者は,法務大臣に届け出ることによって,日本国籍を離脱することができます。
(2 ) 外国の法令による外国国籍の選択(国籍法第11条第2項)
外国が,日本と同様な国籍選択制度を有している場合に,その外国の法令に従ってその国の国籍を選択したときは,当然に日本国籍を喪失します。
2 日本国籍を選択する方法
(1 ) 外国国籍の離脱(国籍法第14条第2項前段)
その外国の法令に基づいてその国の国籍を離脱すれば,重国籍は解消されます。
(2 ) 日本国籍の選択宣言(国籍法第14条第2項後段)
市区町村役場又は我が国の在外公館に,「日本の国籍を選択し,かつ,外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届をすることによって行います。
(注 )外国国籍の離脱の手続,外国の法令による外国国籍の選択の手続については,その国の政府機関に相談してください。
なお,外国国籍を離脱した場合には「外国国籍喪失届」を,外国の法令により外国国籍を選択した場合には「国籍喪失届」を,市区町村役場又は我が国の在外公館に提出してください(戸籍法第106条,第103条)。
国籍選択について
重国籍者の方は国籍の選択を!
外国の国籍と日本の国籍を有する人(重国籍者)は,22歳に達するまでに(20歳に達した後に重国籍になった場合は,重国籍になった時から2年以内に),どちらかの国籍を選択する必要があります。選択しない場合は,日本の国籍を失うことがありますので注意してください。
― 確かめましょう あなたの国籍 ―
○ 外国で生まれた方や親が外国国籍の方は重国籍の可能性があります。
○ 上記以外にも、婚姻や認知等により重国籍となる場合があります。
1.国籍の選択をしなければならない人
重国籍となる例としては,次のような場合があります。
(1) 日本国民である母と父系血統主義を採る国(例えば,エジプト)の国籍を有する父との間に生まれた子
(2) 日本国民である父または母と父母両系血統主義を採る国(例えば,フランス)の 国籍を有する母または父との間に生まれた子
(3) 日本国民である父または母(あるいは父母)の子として,生地主義を採る国(例えば,アメリカ)で生まれた子
(4) 外国人(例えば,カナダ)父からの認知,外国人(例えば,イタリア)との養子縁組, 外国人(例えば,イラン)との婚姻などによって外国の国籍を取得した日本国民
(5) 帰化または国籍取得の届出によって日本の国籍を取得した後も引き続き従前の外国の国籍を保有している人
2.国籍の選択の方法【具体的方法の図】
国籍を選択するには,自己の意志に基づき,次のいずれかの方法により選択してください。
(1) 日本の国籍を選択する場合
ア 外国の国籍を離脱する方法
当該外国の法令により,その国の国籍を離脱した場合は,その離脱を証明する書面を添付して市区町村役場または大使館・領事館に 外国国籍喪失届をしてください。離脱の手続については,当該外国の政府またはその国の大使館・領事館に相談してください。
イ 日本の国籍の選択の宣言をする方法
市区町村役場または大使館・領事館に「日本の国籍を選択し,外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届をしてください。
(2) 外国の国籍を選択する場合
ア 日本の国籍を離脱する方法
住所地を管轄する法務局・地方法務局または大使館・領事館に戸籍謄本,住所を証明する書面, 外国国籍を有することを証明する書面を添付して,国籍離脱届をしてください。
イ 外国の国籍を選択する方法
当該外国の法令に定める方法により,その国の国籍を選択したときは,外国国籍を選択したことを 証明する書面を添付の上,市区町村役場または大使館・領事館に国籍喪失届をしてください。
3.国籍の選択をすべき期限
国籍の選択をすべき期限は,重国籍となった時期によって異なりますが,その期限は次のとおりです。
(1)昭和60年1月1日以後(改正国籍法の施行後)に重国籍となった日本国民
20歳に達する以前に重国籍となった場合→22歳に達するまで
20歳に達した後に重国籍となった場合→重国籍となった時から2年以内
なお,期限までに国籍の選択をしなかったときには,法務大臣から国籍選択の催告を受け,場合によっては日本の国籍を失うことがあります。
(2)昭和60年1月1日前(改正国籍法の施行前)から重国籍となっている日本国民
昭和60年1月1日現在20歳未満の場合→22歳に達するまで
なお,期限までに国籍の選択をしないときは,その期限が到来した時に日本の国籍の選択の宣言をしたものとみなされます。
○ 詳しいことは,最寄りの市区町村役場,法務局 または大使館・領事館にお尋ねください。
改正国籍法に伴う国籍取得届の状況(平成21年1月1日施行)
(平成21年1月1日~同年9月30日)
該当条文 | ①国籍取得届出 の受付者数 |
②国籍取得証明書 の発行者数 |
③要件を満たさないた め不受理とされた件数 |
|
---|---|---|---|---|
第3条 | 父母が婚姻している子 | 362 | 268 | 0 |
父母が婚姻していない子 | 486 | 360 | 3 | |
経過措置 | 附則第4条 | 32 | 23 | 0 |
その他 | 2 | 1 | 1 | |
合計 | 882 | 652 | 4 |
なお,①のうち,②及び③を除くものは審査中である。
通常帰化(国籍5条1項)
国籍法5条1項1号
「引き続き5年以上日本に住所を有すること」
「住所」
・少なくとも3年以上は就労していること
日本語学校2年、大学4年では、5年以上日本に住所を有するにはなりません。
(例外) 「日本人の配偶者等」「永住者」「定住者」においては、就労期間は要求されません。
「引き続き」
・出張による出国の場合、年間合計100日程度以内の出国日数ならOK
(例外)年間180日以上、会社命令、日本に10年以上居住、自宅購入、日本生まれ
国籍法5条1項3号
「素行が善良であること」
1.実刑有罪判決
刑の執行が終わり10年以上経過すれば、許可される可能性がある。
※家族、勤務先から本人の悔悛状況を示し、上申書を添付
2.執行猶予付き有罪判決
執行猶予期間の2倍程度の期間の経過。
3.オーバーステイ
在留特別許可後、10年以上経過。
4.交通違反
5.税金未納
6.内縁関係
国籍法5条1項4号
「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」
1.貯金額
会社勤務の場合は、問題ありません。
※失業中の場合、求職期間中の生活を維持する貯金が必要。再就職の可能性の技術・スキルも審査対象となる
年金生活者の場合は、貯金プラス年金収入も加味して判断
2.雇用形態
正社員・契約社員・派遣社員でも、勤務期間が長ければ問題ありません。
3.転職
転職後間もない場合や転職歴が多い場合は、法務局に相談すべき。
※就労資格証明書を取得した方がよい。
簡易帰化(国籍6条)
国籍法6条3号
「10年以上の居所を有する場合」
就労がなくても、10年以上在日していればOK
※生計要件「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」は必要。
アルバイト収入に加えて、両親からの経済的支援も加味されます。
国籍法6条2号
「日本で生まれた者の場合」
1.「日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有するもの」
※能力要件「20歳以上で本国法によって行為能力を有すること」は緩和されていないので、20歳以上でなければならない。
(例)日本で生まれ、国外で育った場合は、日本に住むようになってから3年以上経過。
※生計要件、住所要件は緩和されない。
2.「日本で生まれた者でその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの(在日3世)
住所要件としては、現に日本に住所を有することだけでOK。
※日本生まれの在日3世が海外で育ったとしても、日本に戻れば在日期間に関わらずOK。
※能力要件「20歳以上で本国法によって行為能力を有すること」は緩和されていないので、20歳以上でなければならない。
国籍法6条1号
「日本国民であった者の子」
「日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの」も住所要件緩和。
「日本国民であった者」とは、外国籍を取得したことにより日本国籍を喪失した者、元日本人を言います。
※元日本人の子は海外で生まれ育った場合は、来日後3年経過しないとダメ。
※能力要件や生計要件は必要です。
簡易帰化(国籍法7条)
1.国籍法7条前段
「在日3年以上の外国人が日本人と結婚した場合」
日本人の配偶者については、就労期間3年を経過しなくてもよい。
※緩和-住所要件と能力要件
※生計要件は必要(両親からの経済的援助も可)
2.国籍法7条後段
「婚姻後3年経過、在日1年以上の場合」
日本又は海外で日本人と結婚してから3年が経過し、かつ来日してから1年以上経過した場合は、OK。
3.外国人夫婦が同時に帰化申請する場合
外国人夫婦のうちの一方が帰化の条件を満たすことを前提に、配偶者を「日本国民の配偶者たる外国人」として扱います。
(例)夫が在日5年以上で就労期間が3年以上、妻が在日1年以上であればOK。
簡易帰化(国籍8条)
国籍法8条3号
「日本国籍を失った者で日本に住所を有するもの」
原則的住所要件、能力要件及び生計要件は不要。
※実務上は、来日後6ケ月経過してから申請。
国籍法8条1号
「日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの」
原則的住所要件、能力要件及び生計要件は不要
国籍法8条2号
「日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であったもの」
原則的住所要件、能力要件及び生計要件は不要